- 百日咳の報告数は2020年以降、新型コロナウイルス感染症の影響もあり減少していましたが、2023年から再び増加しています。
- 茨城県の2025年における累計報告数は、全数把握開始以降過去最多を更新しています。
- また、全国的にも流行しており、報告数の増加が続いています。
《現在の発生状況》
百日咳とは
- 百日咳は、百日咳菌(Bordetella pertussis)によって引き起こされる急性気道感染症です。
- 特有のけいれん性の激しい咳発作(痙咳発作:けいがいほっさ)が特徴です。
- 世界的に見られる疾患で、感染力が非常に強く、いずれの年齢でもかかりますが、小児が中心となっています。
- 特に生後6カ月未満の乳児では重症化しやすく、まれに死に至ることもある疾患です。
- 成人の百日咳では、咳が長期にわたって持続するものの、典型的な症状がみられないために診断が見逃されやすく、感染源となって周囲へ感染を拡大してしまうこともあるため、注意が必要です。
感染経路
- 主な感染経路は、飛沫感染と接触感染です。
- 飛沫感染:感染者が咳やくしゃみ、会話をするとウイルスを含んだ飛沫(しぶき)がまわりに飛び散り、他の人がその飛沫を口や鼻から吸い込むことで感染します。
- 接触感染:感染者が咳やくしゃみを抑えた手で周りの物(ドアノブ、手すり、スイッチ、机、椅子、おもちゃ、コップ等)に触れることで、物にウイルスがつきます。他の人がそれに触れることでウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触ることで粘膜から感染します。
症状
- 約7〜10日間の潜伏期間を経た後、カタル期、痙咳(けいがい)期、回復期の3つの経過をたどります。回復までに約2〜3カ月かかります。
- カタル期:かぜ症状(鼻水・くしゃみ・軽い咳・微熱等)で始まり、次第に咳の回数が増え激しくなります。
- 痙咳期:次第に特徴のある発作性けいれん性の咳(痙咳)となります。短く激しい咳が連続的に起こった後、息を吸うときに笛のようなヒューという音が出ます。
夜間の発作が多いですが、年齢が小さいほど症状は多様で、乳幼児早期では特徴的な咳がなく、単に息を止めているような無呼吸発作からチアノーゼ(顔色や唇の色が紫色に見えること)、けいれん、呼吸停止と進展することがあります。合併症としては、肺炎や脳炎などがあります。
- 回復期:激しい発作は徐々におさまりますが、時折、発作性の咳もみられます。
治療方法
- 生後6カ月以上は、抗菌薬による治療が検討されます。
- 咳が激しい場合には咳止め等の対症療法が行われることがあります。
予防と対策
- 「予防接種」と「基本的な感染対策」を心がけることが大切です。
- 百日咳の予防には、ワクチン接種が有効です。生後2カ月から予防接種法に基づく定期接種が受けられますので、計画的に接種しましょう。
- 予防接種については子どもの予防接種(市ホームページ)をご確認ください。
- 日頃からこまめに手洗い、マスク着用、咳やくしゃみをする時には口と鼻をハンカチ等でおおうなどの「咳エチケット」の基本的な感染対策を心がけることが大切です。